堺孝行刃物用語解説
■本焼(ホンヤキ)
本焼きとは、刀同様全鋼で出来ていて、利点は、切れ味が長持ちし刃研ぎによる型くずれしにくいという点です。
欠点としては、製法が難しい事や、硬いために小刃欠け(刃先が小さく欠けること)したり、研ぐのに時間がかかること、価格が高いことなどです。
■霞(カスミ)(付け鋼)
霞とは鋼と鉄を鍛接したものが材料です。
霞(付け鋼)の包丁は本焼きに比べ比較的価格も安く、裏に鋼、表には軟鉄を鍛接しているため研ぎやすく、大きく欠けにくいという利点があります。
しかし切れ味が落ちるのが早かったり、表と裏で違う材質を鍛接しているために包丁が裏に向かって(軟鉄の膨張により鋼が押されるため)反ってくることがあるという欠点があります。
■安来(ヤスキ)
日本刀に用いられた日本古来の鋼の精錬法と鍛錬の技術や品質を残すため、明治32年に島根県安来市に創立された雲伯鉄鋼合資会社(現日立金属㈱安来工場の前身)により引き継がれたヤスキハガネの産地
■スウェーデン鋼
スウェーデンにあるウッドホルム社などの鉄鋼メーカーで作られた鋼は、不純物が少なく刃物を作るのに最適とされ、その材料を輸入して日本で刃物に仕上げている
■イノックス
クローム・モリブデンを含有した特殊鋼を使用し、錆びにくく良く切れる包丁です。
■青二鋼(青紙2号)
白二鋼に、タングステンやクロムを添加して熱処理特性及びたい摩耗性を改善した鋼種で永切れする刃物になります。
■白二鋼
黄鋼から更に不純物を極力低減した炭素鋼で、適切な鍛錬と熱処理によって切れ味良く、研ぎやすい理想的な刃物を製作することが可能です。
■銀三鋼
クロムを12%以上含み、錆びにくいステンレス鋼系の中でも炭素量を増加させた結果、炭素鋼並の硬さと切れ味を得られた刃物鋼です
■白三鋼
白二鋼から炭素量を低下させた鋼で、靱性が白二鋼より向上している反面、硬度は低くなっています。
■黄鋼(キイコウ)
JIS SK鋼から不純物を極力低減した純粋な炭素鋼
■8A鋼
13クローム含有のさびにくい鋼
■正夫(ショウブ)
元々は関西型の刺身包丁だが現在は全国的。柳刃(ヤナギバ)とも言う
■ふぐ引
ふぐ等の薄造り用で、正夫よりも巾も厚みも薄い。てっさ包丁とも言う
■蛸引
元々は、関東型の刺身包丁だが、最近は正夫に押されて使う人が減っている
■相出刃(アイデバ)
魚や鳥獣を骨ごと叩き切ったり、三枚おろしに使用する。本出刃を軽量にした物
■本出刃
出刃の元祖だが、相出刃より巾が広く厚みがあって重たいため、使用が減ってきている
■舟行出刃(フナユキデバ)
元々が家庭用で、相出刃より厚み、巾がなく薄くて軽い、小サイズしかない
■身卸出刃(ミオロシデバ)
相出刃より厚みが薄く軽量感があり二枚おろしや切り出しにも使え用途が広い
■鳥出刃
刃が直線で鶏肉専用の出刃
■鎌形薄刃(カマガタウスバ)
関西型の野菜切で小さい物は面取りなどの細工包丁としても使う
■薄刃(ウスバ)
関東型の野菜切りで一般的には片刃だが両刃の物もある
■菱形薄刃
薄刃としても使えますが、切っ先がするどく細工用としても使用できる
■諸刃薄刃(モロハウスバ)
薄刃を両刃にし、まな板の上の物をまっすぐに切りやすくした物
■むき物包丁
細工切専用庖丁で峰の厚さが薄く切っ先は菱三角形
■あなご包丁
あなごなどを裂く庖丁
■江戸裂
関東型のウナギ裂
■京裂
京都型のウナギ裂
■名古屋裂
名古屋型のウナギ裂
■大阪裂
大阪型のウナギ裂。布を巻いて使うことも多い
■切付包丁(キリツケホウチョウ)
関東型の庖丁で薄刃と刺身の両方に使えるため、ずぼら庖丁とも言われる
■骨切(はも切)
はも等の小骨の多い魚の骨を細かく切るための物
■鮭切
鮭のようなやや大型の魚の開いた身を皮、骨ごと切り身にする片刃の庖丁
■寿司切
巻き寿司や押し寿司を切る時に使う両刃の庖丁
■カニ切包丁
カニの殻の一部をそぐように削る為の包丁。
刃が、殻の内部に向かって入っていかないよう、通常の刃物とは刃の向きが逆になっています
■式包丁
神社の境内やイベント会場、ホテルなどで食礼の儀式に使う
■牛刀
肉、野菜、魚、パンなど万能だが刃が薄いのであまり堅い物は不可
■牛刀(厚口)
冷凍物など刃こぼれしやすい素材を切る事の出来る厚刃の牛刀
■スライサー(筋引)
肉の筋を切ったりスライスする肉の薄切り用
■ナロースライサー
スライサーより厚みが薄く、肉などを薄く切りおろすためのしなやかさのあるナイフ
■洋出刃
骨付き肉や半冷凍物、カニなどを切る厚口の牛刀
■ペティナイフ
野菜、果物の皮むきや細工用
■サバキ東型
本来は骨付き肉から肉を切りはがす物だが、小型で使いやすいので様々な用途に使われている。骨透き包丁とも言う。
関東型
■サバキ西型
本来は骨付き肉から肉を切りはがす物だが、小型で使いやすいので様々な用途に使われている。骨透き包丁とも言う。
関西型
■ミートフォーク
調理中の肉などをおさえたり、さしたりする時に使う
■カービングフォーク
カービングナイフとセットで、調理中の肉を押さえるのに使う
■カービングナイフ
カービングフォークとセットで、調理中の肉をカットするのに使う
■サーモンスライサー
細身で切っ先が鋭くサーモンの身を薄くスライスするのに使う。サーモンサイフ同様身が刃に付かないように溝が付いている
■サーモンナイフ
スモークサーモン等のスライスに使う。刃は薄くてしなる。刃の溝は、切ったサーモンなどが、刃にくっつきにくくするための物
■ウェーブナイフ
パンや、カステラ、ケーキなどを切るのに使うが波刃のため切りくずが出やすい
■スチール棒
包丁に付いた肉脂とよごれを取り、包丁本来の切れ味を出すための道具
■中華牛刀
肉、魚などを切り分ける厚刃の牛刀
■ガラサキ
鳥などを解体するための庖丁。ガラスキとも言う
■小間切牛刀(コマギレギュウトウ)
肉、魚、野菜などを小さく細切れにするための巾広の庖丁
■めん切
麺棒などで延ばした麺生地を切って麺状にする物。均一に力が入りやすいよう握り
手部分が、刃の中心に近づいている
■そば切
麺切りと同様の形状だが、そば生地の方が一般に薄く大きくなるため包丁も大きくなっている
■マグロ切
マグロの身を解体するのに使う
■マグロ用骨切鋸(ホネキリノコ)
マグロなどの大型魚の骨を切断する
■坪切(ツボキリ)
刃先の形が、三角の物と、半円の物があり、いずれも食材の細工に使う。料理ノミともいう
■料理ノミ
刃先の形が、三角の物と、半円の物があり、いずれも食材の細工に使う。坪切とも言う
■クリ抜
本来はジャガイモの芽を取り除くのに使うが、物が丸く切れることから、食材の加工にも使われる
■タヅナ抜
食材の中に押し込むことで、螺旋状の細長い形に食材が切れる
■豆ゴテ
まんじゅうなど和菓子に焼印を付ける
■切出
飾りの食材でおよその形が出来た後、細やかな細工をする小刀
■丸抜き
種のある食材などの芯抜きに使う
■料理用ニッパー
料理に付ける飾りで金属の針金などを切る時に使用する
■貝裂包丁
貝割として使用し、貝をなどを開くのに使う
■鋸
料理に付ける飾りの木を切る小型のこぎり
■オイスターオープナー
牡蠣の身を貝から切り取るのに使う道具
■目打(メウチ)
ウナギなどをまな板に固定し、調理しやすくするのに使う
■盛箸(モリバシ)
和食の盛りつけに使う。先は尖っており料理を突き刺すこともできる
■油壺
包丁の錆止めに使う油が入っている
■中華ナタ
肉や魚を骨ごと叩き切るための道具
■中華出刃
中華料理のコックさんが使う出刃
■クレーバー
肉や魚を骨ごと叩き切るための道具
■長崎
長崎カステラのような大きなスポンジケーキを美しく切るためのもの
■両手もち切包丁
鏡餅などの大きくて堅くなったもちを切るのに使う
■かきもち切
棒状にしたもちを薄切りしてかきもちを作るのに使う。厚みは調整できる